もう訳がわからなくなって、とうとう日本語でルワンダのおばちゃんに話しかけた。
おばちゃん、布はこうやってきるんだよ。
あー、あーそれでっかいって。
おばちゃん、ボンドはみでてる!!
おー!!めっちゃうまい!さすが、さすが!
にぶじーざ。にぶじーざ、ちゃーね!
最後の一行だけルワンダ語。
もう、めちゃくちゃ。
ルワンダの村で、私はおばちゃん達と向き合っていた。
先輩の隊員の人が活動してる所で、
活動のお手伝いをさせてもらっていた。
石鹸作り。168個。
3日後までに完成させなきゃ、ならない。
一個1000フランで売るから、合計168000フラン。
走り出しのこの協同組合にとっては、大事な収入となる。
はず。
でもさ、ふと周りを見回すと、
焦ってんの私と先輩だけなんだよね。
おばちゃん、手に石鹸もったまま、踊ってんの。歌ってんの。
その辺に寝っ転がってんの。
いい商品を作りたい。作らなきゃならない。
だから、作業はできるだけ効率良くして、
汚い商品はやり直して。
そんなこと考えてんの、多分私と先輩だけ。
こんな時ふと、昔、マザーハウスの倉庫で検品作業してたことを思い出す。
普通にバングラデシュからきたバッグがそこにあったけど、
あのクオリティーだすのって相当すごいな。
とか思う。
仮にビジネスとして、世界中の石鹸と対抗できる石鹸作るのなんて、
今、この状況を目の前にすると、不可能にすら思える。
でもさ、私なんか、それも悪くないと思ったよ。ちょっと。
おばちゃんたち、なんか楽しそうなんだもん。
ルワンダには、ルワンダのやり方があって、
それで、おばちゃんたち、あんな風に笑うんだから、
別にそれも悪くないじゃんって。
それを私の基準に合わせる権利、私のどこにあるんだ?って。
でもやっぱり、それだけじゃ、だめなんだよな。
それだけじゃ、この石鹸、売れないもん。
この石鹸うれたらさ、おばちゃん、家に水を引けるかもしれないし、
電気のついた部屋がもう一部屋増えるかもしれない。
夕食のおかずが一品くらい増えるかも。
それにさ、買ってくれる人の期待には答えたいよな。
とか思ったりしだして。
難しいなぁ。
そう簡単に、答えはでなそう。
場所:ルワンダ