一昨年の夏、友だち5人と富士山に登ったことを思い出した。
静岡県に生まれたくせに、私は富士山に登ったことが一度もなくて。
ちなみに私は、山登りとかマラソンとか、そういった類の忍耐の必要とされるものは
大嫌いだったのだけれども、とりあえずまぁ、友だちの中で富士登山たるものがはやっていたので、私もその勢いに任せてついていったというわけ。
その時初めてしったんだけどさ、富士山てのは夜から登りはじめるんだね。
いろんな団体の人がいたんだけどもさ、
うちらも含めて、みんな早朝にやってくる「ご来光」ってのを
頂上でみるのを楽しみにしながら、夜の山を7時間くらいかけて登っていくの。
最初は5人で登っていたんだけども、
だんだん、それぞれのペースが生まれてきてさ。
ご来光にちゃんと間に合うようにいい感じのペースで登ってく人。
それを追っかけて早足になる人。
もう疲れちゃって、ゆっくりのぼる人。
そんな人を心配して、本当は早く登れるのにペースをあわせてくれる人。
ま、私はもちろん、疲れはてていて、一番後を登っていたんだよね。
言うまでもないよね。
大親友のりゅういちがさ、そんな私を見かねて一緒にゆっくりのぼってくれたんだよ。
あまりにも遅くてさ、どんどん、どんどん抜かれていくの。
なんせ私、3歩に一回休むからね。
途中で一杯600円の高級カップヌードルたべちゃうからね。
あと、星が、きれいでさ。
空を見上げてはため息をついて、
きれいだねぇって話して、ついでにりゅーいちに将来の夢なんか語っちゃったりして。
そんなことをしていたら、案の定、日の出には間に合わなくて、
山登ってる途中から、ご来光を眺めることになったわけ。
でもなぜかさ、もうその時には「頂上でご来光を見る」なんてことはすっかりどうでもよくなってたんだよ。
星が綺麗でさ。
結局わたしたちは、頂上にものぼることなく、9合目で折り返したし、
ご来光もみんなとおんなじようにはみれなかったの。
だけどさ、すっげー、もうすっげー楽しかったわけよ。
ご来光も頂上もどうでもよくなっちゃうくらい、
親友と富士山に寝っ転がって星空をみていたことがさ。
「楽しいね」っていいながら、頂上を目指すことすら諦めてしまったこともさ。
なんだか笑えてきちゃうの。
次の日、全身筋肉痛になったけどさ
今度日本に帰ったら、もういっかい、大親友と登りたいな。